日本食品分析センターへ問い合わせをするときの注意点

日本食品分析センターへの問い合わせを考えている人は、検体についてクレームがあったがその原因が分からない、法律が改正されて急遽自社では対応できない成分を分析しなければならなくなった等、何かしら問題を抱えているケースが多いのではないでしょうか。

そういった場合、決して安くはない分析料金を支払って期待した結果が得られないといったことは極力避けたいところです。今回は問い合わせをする際の注意点をご紹介します。

日本食品分析センターへの問い合わせをする前に

日本食品分析センターサイト内の「よくあるご質問」に問い合わせの多い質問内容が載っています。問い合わせする前に「よくあるご質問」は見ておきましょう。問い合わせ案件が多い時期(法律の改正が行われたタイミング等)だと返答に時間がかかることがあります。

余計なやり取りを削減することでスムーズに分析へ進むことが出来ますので是非確認しておいてください。

問い合わせの流れ

指定されたフォームに必要事項を記入します。当然のことですが、嘘は書かないでください。分析内容を決める中で何度もやり取りすることになるので、誤った情報を記入すると不都合が生じます。また、記入内容は最初は簡潔に書いた方が良いと思います。

あまり専門用語を使用しすぎると後で齟齬が生じる恐れがあります。そして内容の送信が完了すると自身のアドレスにメールが届きます。そこから分析内容の詳細を決めていく流れになります。

試験目的についての注意点

事前に検体について知りたい情報は何かを明確にしておくことが重要です。例えば試験目的が「検体から感じる特徴的な香りの正体を知りたい」、「顧客からのクレーム原因を知りたい」等、漠然としたものである場合には期待した結果は得られないと考えてよいでしょう。

日本食品分析センターは分析機関であって当事者ではありません。当事者が試験に関する明確なイメージを持っていなければ、得られる結果も曖昧なものになってしまいます。試験目的を明確にすることが分析を依頼する上で最も重要なことです。

もし、分からないことがある場合には日本食品分析センターに相談して、方針が定まったところで分析に取り掛かるとよいでしょう。

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分析方法についての注意点

検体によっては定められた方法で分析しなければならない項目もあるので注意が必要です。特に日本食品分析センターで実績の乏しい検体である場合には、定められたものとは異なる方法で分析してしまい、せっかくの分析結果が使えなくなることもあり得ます。

予め関係法令などを確認しておきましょう。もし依頼者が分析方法に関して詳細な部分を理解できなくても問題ありません。分析担当者は専門家ですので、ルールに則って分析してくれるはずです。

また、検体に用いられている原材料などの基本情報も、分析する上で重要な情報ですので、できるだけ状況提供しておいた方が良いです。

検体の送付方法についての注意点

日本分析センターへの検体の送付方法も注意が必要です。例えば微生物試験の場合、輸送中に外部環境から微生物が混入してしまうと本来の製造ラインからの微生物混入の有無は判断できなくなります。更には外部環境からの微生物混入で検体が陽性判定された場合には、本来不要なライン洗浄などの対応を行なわなければならなくなり、会社の損失につながる可能性もあります。

微生物汚染しやすい検体の場合は、滅菌容器に保管する、冷蔵管理にするなどしておいた方がよいでしょう。但し、冷蔵・加熱することで変化する成分もあるので、その点も留意しなければいけません。検体を適切に保管するために日本食品分析センターには事前に送付方法について相談をしておいた方が良いです。

結果報告についての注意点

検体に関する分析結果が得られるまでの期間は予め確認しておいた方が良いです。分析項目によって結果が出るまでの期間はバラバラで、長い時には3週間以上かかることもあります。締切が定められた分析である場合には事前に日本食品分析センターにその旨を伝えておいてください。

場合によっては割増料金を払う必要はありますが、結果報告の時期を早めるなどの対応をしてくれます。解釈に困る結果が得られた場合には日本食品分析センターに問い合わせましょう。依頼者の意図が適切に伝わっていない可能性がありますので、不明点は積極的に尋ねてみるべきです。

その際、実際に分析した感想を担当者に聞いてみることもおすすめします。そこから新たなチャンスが生まれるかもしれません。

分析結果の解釈についての注意点

検体の定量分析が試験目的である場合、製造ロットごとのブレは考慮に入れておきましょう。1検体のみの分析値ではどの程度検体間でブレがあるか分かりません。もし成分規格などを設定する場合には複数ロットの分析値を算出して標準偏差などを参考に範囲を定めた方が良いです。

一方、官能評価のような定量的な結果を得ることが難しい分析項目の場合、得られた結果をそのまま受け取るだけでは不十分です。その結果の意味するところを依頼者自身がよく考察することが重要です。例えば「甘い」という用語で砂糖と人工甘味料の甘さを同じと評価する人もいれば、そうでない人もいます。

その辺りの解釈を依頼者は十分に理解しなければいけません。もし不明な点がある場合には分析担当者に問い合わせましょう。

分析結果の掲載についての注意点

分析をして期待通りの結果が得られたら、パッケージなどに掲載することもあると思います。ルールに則って掲載することは問題ありません。しかし、その際、優良誤認されるような誇大広告にならないように注意しましょう。

せっかく得られた素晴らしい結果が逆に会社に損害を与えることになるかもしれません。

分析が終わった後について

定期的に日本食品分析センターのような分析機関に依頼することは検体の安定性を担保するために必要なことだと思います。しかし、日常的に分析する項目について毎回依頼分析していると費用が掛かります。また、結果を急いで出さなければならない分析項目は依頼分析では間に合いません。

そのため、分析データが蓄積されたところで自社で分析できる環境を整えることもおすすめします。実際に機器を使って分析することで、それまで気が付かなかった部分に対する気付きが生まれるかもしれませんし、専門的な知識が身に付きます。

分析機器メーカーの補助が充実したところだと分析系の確立まで面倒を見てくれるところもあります。

日本食品分析センターへの問い合わせから得た経験を次のステップへ活かしていけると良いと思います。

食品分析を委託してわかること