アミノ酸分析などができる食品分析とは?

みなさんは、「食品分析」という言葉を聞いたことがありますか?あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、実は私たちの生活に身近な技術になっています。今回は、そんな食品分析とはどういったものなのか、私たちの生活にはどのように影響しているのか、などを細かく説明していきます。

食品分析についてよく知ることで、より一層健康的な生活を目指しましょう。

食品分析を委託してわかること

食品分析とは?

まず、「食品分析」とは簡単に言うと食品に含まれる成分や微生物を調べる技術です。食品には、さまざまな成分が含まれていて、非常に複雑なつくりになっています。その中で、対象の成分がどれくらい含まれているのか、どんな微生物による汚染があるのか、というのを細かく検査していきます。

食品分析が難しいと言われている理由の1つは、この食品の複雑さにあります。水やその他の自然のものに比べて、食品はつくりが複雑な上に、それぞれ少しずつ異なっていて値が不均一になっています。そのために、目的の成分、化学物質の濃度などにばらつきが生じて、分析が難しくなるのです。

また、分析は機械や器具も使いますが、だいたいは人の手によって行われています。だから、それによる値のばらつきも防ぐため、分析機械の開発や食品分析の自動化が進んでいます。食品分析は、ごく微量の物質を検査する技術です。

実は、物質を検査する際、その目的の物質が微量であるほど、誤差が生じやすくなります。それゆえに、食品分析は誤差が生じやすい技術と言えます。食品分析は、どれだけ優秀な研究員が、精度の高い器具や機械を使って分析を行っても、求めたい値の本当の値である真値は、求めることができない、と言われるほど難しい技術です。

これらのことを踏まえて、食品分析で出された数値は絶対に正しいとは言い切れない、というのを知っておきましょう。ですが、食品分析の精度が上がっていることは確かです。食品分析で何かの成分を調べたいときには、1つの研究結果ではなく、さまざまな結果を吟味することをおすすめします。

食品分析の必要性

こんなに複雑で難しい食品分析ですが、どんなときに利用され、どうして必要な技術なのか疑問に思う方もいるでしょう。まず、食品分析は私たちの生活に役立つ技術である、ということをお伝えします。具体的には、賞味期限の設定などにも食品分析は関わっています。

食品の栄養や機能を分析することで、味や食品機能性などを調べることができます。そこで、企業などと協力して、食品の賞味期限の設定や、食品を販売する際に記載される栄養成分表示をはじめ、さまざまなことを行なっています。

食品のアレルギー表示や、有害物質、微生物の検出なども行なっています。最近では、食品分析は、製品管理、商品開発に欠かせない大切な技術となっています。また、この技術を生かしてペットフード、医薬品、化粧品なども分析が進んでいます。

医薬品や医療機器の開発、承認から、家庭用品や包装資材の開発にも幅広く役立っています。

そして、なぜ食品分析が行われるのか、についてですが、日本には「食品衛生法」という法律があるのを知っていますか。この法律では、私たち国民が衛生上安全に飲食し、健康を増進することを保障し、有害な物質を含んでいたり、付着していたりする食品や、微生物に汚染されていたり、異物が混入していたりする食品を販売することを禁止しています。

食品分析は、この法律に基づいて、私たちが健康に飲食ができるように進められています。実際に、食品分析をしないと分からなかった汚染や混入なども多く、特に海外で作られた食品では、日本と基準が違っていて食品分析が必要なものも多くあります。

他にも、消費者から食品に対するクレームがあったとき、食中毒の可能性があるとき、なども食品分析が活躍します。このように、私たちの食の安全を守り、健康的な食生活を促すために、食品分析は行われています。

食品分析の仕事内容

非常に複雑で高度な技術を必要とする食品分析ですが、実際にどんな仕事をしているのか説明します。カロリーなどの熱量や炭水化物、タンパク質、ナトリウム、アミノ酸などをはじめとする、食品に含まれる栄養成分の分析が主な仕事となります。

他にも、食品に含まれる農薬、放射能、微生物などの検査も仕事の1つです。さらに、添加物を検査することもあります。他には、健康の保持増進を目的に作られている特定保健用食品、そして病院などで患者に提供される食品や乳幼児のための調整粉乳などが含まれる特別用途食品、といった特別な食品の検査も食品分析の仕事に含まれています。

食品に含まれる栄養や成分が、国が定めている基準値を超えていないかどうかなどを調べることで、販売されている食品に記載される栄養表示への信頼性を保っています。このように、食品分析では、すでに販売されている食品も、販売される前の食品も検査の対象となっています。

食品の品質を調べて、私たちの安全や信頼を保つ、というのが食品分析の大切な仕事になります。

食品分析を仕事にするには

食品分析の世界では、専門用語や業界用語などが多く存在しています。

そのため、栄養学、理化学の知識はもちろん、食品表示法や食品衛生法など食品に関わるさまざまな物事を定めた法律についての知識も必要とされます。

基本的には、化学の技術を使って行う仕事ですので、理系の学校を卒業していた方がやりやすいと言われていますが、最近ではパートや派遣などでも食品分析のサポートができるようになっています。

また、あまり人手が多い仕事ではないので、即戦力になるような実地経験があるといいかもしれませんが、未経験の人でも採用されるので、興味がある人は一度調べてみるといいかもしれません。

誰でも簡単に依頼できる食品分析

食品分析は企業などの団体しか依頼できない、と思われがちですが、個人でも依頼することができます。日本食品分析センターをはじめとするさまざまな機関では、個人で郵送やWEBから依頼書と調べてほしい食品の検体を送り、食品分析を依頼できます。

約10日ほどで結果を受け取れるので、気軽に依頼できるのではないでしょうか。料金は、依頼した食品や調べた成分により異なり、見積もり書が発行されて前払い制になっている機関が多いようです。自分自身が健康な食生活を送るためにも、違和感や疑問を感じた際には食品分析を考えてみるのもおすすめです。

日本食品分析センターへ問い合わせをするときの注意点